第15章  もっと近くに(続き)

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だが時は、彼に落ち着きという猶予は与えてくれなかった。 程なく、広い室内に響いたチャイムと共に バスルームから水音が聞こえてくる中、白ワインが運ばれてきた。 そして、ボーイの姿が消えるのを待つかに、 扉の向こうのバスルームが静まり返る。 忍は、再び大きく呼吸をひとつすると、 運ばれてきたばかりのワインの封を切った。 「あの、お先に頂きました」 白いバスローブ姿の彼女が、おずおずとリビングに戻ってくる。 律儀だな、誰の家でもないのに。 ふとそんな事が浮かび、口元が綻ぶ。 だが同時に、何をしても、その一つひとつが愛しくて堪らない。 そんな彼女の目の前に、忍は、よく冷えた白ワインのグラスを そっと差し出した。
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