第16章  恋の味

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第16章  恋の味

無理に、彼女と肌を重ねようとは思っていなかった。 しかしシャワーを浴び終え、一杯のワインを飲み終えてベッドに誘うと 彼女は、すんなりと頷いてきた。 そして大きなベッドで向かい合い、そっと腕を伸ばすと その中に、おずおずと身を預けてくる。 忍は、微かに硬さを帯びる彼女を柔らかく抱きしめ、静かに訊いた。 「怖い?」 彼女は、彼の胸に顔を埋めるようにして、小さくかぶりを振った。 だからゆっくりと腕を緩め、再び向かい合った彼女の頬を そっと片手で包む。 「那々ちゃん」 囁いて、彼女の額に小さく唇を寄せる。
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