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「大人になったら、ずっとずっと一緒にいようね、って約束した」
壁を背に座りこむ私の前に、野上もお尻をつけて体育座りする。
膝の間に顔を埋めたまま、野上はあの頃を思い出すように呟いた。
「お互い、絶対に忘れないって誓い合ったのに・・・千奈ちゃん、俺を見て『誰?』って言った」
「だ、だって、野上変わり過ぎだもん。
外見もだけど、中身も・・・冷たい男の人になってた」
「俺はすぐ分かったよ?あの頃よりずっと綺麗になってるけど・・・千奈ちゃんだってすぐに分かった。
だからすごく悲しかった・・・ムカついて冷たくした」
「う。
でも、野上、本当に変わったんだもん。
なんていうか・・・想像した以上に
凄く、素敵になってた」
そう言うと、野上はハッと顔を上げた。
「知ってる?
野上、社内で“抱かれたい男ナンバーワン”って言われてるんだよ?」
「は?なにそれ、キモ・・・」
「うん、私も良く分からないけど、そうらしいよ?」
「俺は千奈ちゃんだけが俺に抱かれたいって思ってもらえればそれだけでいい」
「・・・」
「千奈ちゃん?
俺、あの頃からずっと千奈ちゃんのこと好きだよ。
千奈ちゃんは俺の初恋の人だから・・・」
「・・・いっくん・・・」
ごめん。私は普通に恋愛して、彼氏も3人いたりした。
なんて言える状況でもなく、そんな言葉は飲み込んだ。
「私も、いっくんが初恋の人だよ」
そう言うと、正面から野上が私を抱きしめてきた。
「やっと捕まえた・・・・」
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