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「じゃあ、この分の資料準備して。あとこっちの資料は資料室にもどしてて。ヨロシク」
「・・・分かりました」
定時から5分程経過した時に、ズシンと私の机に置かれた資料の山。
そしてその頂上に置かれた新しい資料の一覧表。
それだけ言って、野上はプイッと部屋を出て行った。
「・・・はぁ。大漁・・・いや大量」
我が社のナンバーワン営業マン様のおっしゃることには従わざるを得ず。
私のデスクに思いきり邪魔な資料の山を資料室に戻しに行くことにした。
ずっしりと重いそれを抱え上げ、一瞬2回に分けて運ぶことも考えたが・・・面倒臭いのでやめた。
資料室は同じ階の端にあるがそう遠くはない。
「・・・重っ」
ったく、なんで私が・・・・なんて心の中でブツブツ愚痴っていると、不意に腕の重みが半減した。
「か、川谷課長!」
「大変そうだね。手伝うよ」
キラキラと紳士スマイルを向けられ思わず赤くなる。
が、課長殿に荷物持ちをさせているという現実に、私は慌てて首を振った。
「い、いえ!私が頼まれましたので、課長の手を煩わせるわけには・・・!」
「女の子が大荷物抱えてるのを見過ごせるほど、冷たい上司じゃないつもりだけど?」
ふんわりと微笑まれれば、もう何も言えず。
「で、では、よろしくお願いします」
素直に好意に甘えることにした。
横に並んで歩くのは憚られて後ろを少し遅れて付いていく。
課長って細いなぁ。ちゃんと食べてるのかなぁ。
お尻も小さくて足長い・・・。
す~はぁ~、す~はぁ~、あぁ、課長っていい匂い~。
目の前の課長の後姿を最早視姦しながらの資料室までの道は、天国への通り道のようでした。
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