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結局お姫様はアキラとジェイドの手は借りずに1人で荷物を運んでしまった。
明るい色調のVIPルームには、ところどころにロメオバンクスの赤い薔薇が生けられており、良い香りで包まれていた。
部屋に入ったお姫様は「素敵ですね」と満足そうに微笑んでいる。
何かあったらすぐに無線で知らせるようにお願いすると、アキラ達はひとまず一階へ戻ることにした。
「ああー、緊張しちゃった」
アキラがホッと息を漏らすと、ジェイドは腕を組んで鼻を掻いた。
「あんな美人みたことねえよ。しかし調子狂うぜ。お姫様ってのはもっとお高くとまってると思ってたのにな」
「とっても気さくな方ね。私たちは今回、護衛としてだけではなくお友達としても乗船しているのよ。もっと距離を縮めて仲良くなりたいわね」
すると食堂から燕尾服のタキヤが顔を出した。
手にするトレーには色とりどりのサンドイッチとチョコレート、熱いダージリンの紅茶。
「リーネ姫にご挨拶に行ってきます」
食べ物の匂いにつられてついついお腹が鳴るジェイドの足を、アキラはすかさずふんずけた。
しかし自分も今朝から朝食のパン一枚しか食べていないのだ。すぐに自分の腹も鳴りだし、悔しくもジェイドに脇腹をつつかれる。
「ほっほっ。お姫様の後で、君たちもおやつにしましょうか」
タキヤの素晴らしい提案に、2人の新入隊員はパッと顔を輝かせるのだった。
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