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宇宙船内のホールの親照明は、地球時間に合わせて緩やかに明暗を繰り返す。
これによると、時刻はもう夕方近いはずだ。
軽食をとったアキラとジェイドは、早速お姫様の様子を気にかけたが、タキヤからの助言もあり、あちらから何かご用があるまではそっとしておくことにした。
しばらくホールで待機していると、二階の廊下に大佐の姿が見えた。
2人は直ちに敬礼する。
「異常ないな?」
「は!」
「ご苦労」
大佐は敬礼を解くように促すと、初日の任務に緊張感をもって挑むアキラとジェイドを労った。
「2人とも操舵室に来たまえ。案内してやるぞ」
「え、いいんですか!?」
「お勉強だ」
初めて入る宇宙船の中枢に、アキラとジェイドは目を見張った。
夜をイメージさせる明度を落とした室内からは、遠くの宇宙空間までくまなく確認できるよう防ミサイルガラスで覆われている。
前方には巨大な画面があり、それを中心にいくつもの事象を映した透明のスクリーンが三次元的に浮遊していた。
それぞれが何を意味しているのかは分からないが、パルスの周期や数字の羅列、サイクロイド曲線といったものが、どうやら操舵手が必要とする情報を与えているらしい。
間違って何かの機器に触れてしまわぬように気をつけながら、2人は奥の方へと進んでいった。
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