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2人が近づくと、メイン画面の前に立つソウゲツ大佐が早速説明をしてくれた。
「この船はアン・ボニー号といって、アースSPが擁する船の中でも少人数、広域型の宇宙船だ。今回のように要人の護衛に主に使っている」
アキラは、すかさずメモをとった。
「この船は今、自動操縦なんですか?」
「そうだ。針路はあらかじめ星の重力や軌道などを計算して決める。すでに初期プログラムはしてあるが、予定外のことも起こり得るから、結局舵取りは必要なんだ」
なにやら難しそうな講義にジェイドは「ハア」とため息をついた。
「予定外のことというと、突然の隕石とかってことかしら?」
「んなモンが飛んできたらおしまいじゃねえかよ!?」
目を見開き、キョロキョロと宇宙空間に食らいつく部下の慌てぶりに大佐は笑った。
「落ち着け、ジェイド君。もちろん突然飛来する隕石だってそうだ。それに他国の宇宙船の場合もある」
「でも宇宙法規では、宇宙船の目的地と針路を太陽系で共有することになっているはずでは?」
「アキラ君はよく勉強しているな。そのとおりだ、本来は。しかし中には突然運航が困難になる船があるし、そもそも法規を無視する者もいる」
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