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――次の日。
アキラはいつもどおりの時間に目を覚ました。
白い隊服を着て、ピンクのフレアスカートに脚を通す。
ブロンドの髪を丁寧に解かすと、メイクの時間。
この任務中はしばらく買い物ができないので、お気に入りの化粧品を新調していたのだ。
下まつげにもマスカラをつけると、バッチリ決まった。
今日こそはリーネ姫ともっと色々なお話がしてみたい。
気合いを入れてホールに向かうと、食堂の方から香ばしい匂いが漂ってきた。
「タキヤさん、おはようございます。すみません、お手伝いもしないで」
タキヤはクマのアップリケが入った自前の青いエプロンをつけて、上機嫌に微笑んだ。
「おはようございます。クッキングは私の楽しみですからな。好きでやっているのでお気になさらずに」
そう言いながら、マーマレードジャムを塗ったトーストを差し出してきたので、アキラは目を疑ってしまった。
「あ、これ私のいつもの朝ごはん!」
「おや、そうですか? 今、卵とベーコンも焼いてますよ。温かいうちにどうぞ」
アキラはお礼を言ってトーストを食べ始めた。
ほろ苦く甘いジャムがおいしい。
宇宙まで来て、いつもの朝食が食べられることに感動するアキラだった。
そのうちにジェイドが食堂にやってくると、今度は白いご飯に梅干しを乗っけたものと、大根おろしを乗せたふんわりとした卵焼きが出された。
アキラと同様に目を丸くするジェイドの表情は、またもやタキヤを喜ばせたのだった。
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