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「アキラ君、お姫様の様子を見てきてくれませんか? 朝食をお出ししたいので」
ほっぺたが落ちるほどの美味しい朝食を終えたアキラは、タキヤの指令を受けると、早速リーネ姫の部屋へと赴いた。
緊張しつつ、笑顔でコンコンコンとドアをノックする。
「姫様、アキラです」
しかし返事はない。
もう一度やや強めに叩いてみたが、なしのつぶて……。
アキラは少しだけ不安になった。
もしや慣れない環境で体調を悪くされたのでは?
発見が遅くなっては大変だ!
意を決してドアノブをつかむ。
「リーネ姫様、失礼します!」
鍵がかかっていなかったためか、ドアはすんなりと開いた。
中を覗いてベッドを確認すると、ホゥッと安堵のため息がでる。
そこにはスヤスヤと枕を抱いて眠るお姫様の姿があったのだ。
長い睫毛が可愛いらしい。
気が付けばアキラはその姿を目に留めたい一心で少女に歩みよっていた。
昨日はじめて出会った時よりも、その無垢な寝顔のせいか、ずいぶん幼く見えた。
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