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このお姫様は今までどういう人生を歩み、どういう人生を歩んで行くんだろう?
彼女の寝顔は、自分にはおよびもつかない、そんな疑問を投げかけてくるようだった。
アキラはしばらくお姫様を見つめていたが、
やがて触れてはいけない宝箱の中身を隠すように、そっと部屋のドアを閉めた。
しかしその直後。
卒然ドアの向こうから「ドンッ」と耳慣れない音がしたのを聞きつけると、ビックリして振り返った。
「な、何かしら……!?」
急いでドアを開けると、なんとそこにはゴロリと床に転がって伸びたお姫様の姿が!
「ひ、姫様!!」
どうやら寝返りをうって、ベッドから落ちてしまったらしい。
アキラは口に手を当てて青ざめたが、すぐさま駆け寄ると、迷わずその身体に触れた。
「だ、大丈夫ですか!? しっかりして」
「い、いてて~……」
お姫様はアキラの手を借りると、打ち付けた場所をさすりながら、おもむろに起き上がった。
「ああ……ごめん、たまにやっちゃうんだ。ありがとう、アキラ」
そして恥ずかしそうにペロッと舌を出すと、ヒョイっと軽い身のこなしでベッドの上まで戻っていった。
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