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コンビニの外に出る。けんちゃんが灰皿の前で立ち止まって買ったばかりの煙草のビニールを剥いた。
「煙草吸ってたらさ、稀に知らない女の子が火ぃ貸してくれませんかって言ってくる時があるんだけど、そこから発展ってあると思う?」
けんちゃんが夜空に白い煙を吐き出す。息と混じって、余計に白い。
「君のハートに火をつけるよ、とか言ってみれば」
けんちゃんが、ぶはっと吹き出した。
「なにそれ。都会では流行ってるの?」
「……流行ってない」
緊張してた自分がバカみたいだった。けんちゃんはいつも通りだったし、このコンビニも潰れてなかった。
年いっても病気になってもお母さんは口うるさいし、お父さんは頑固で無口。
孫をあやす時だけ、少し口元が緩む。
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