15人が本棚に入れています
本棚に追加
成美は、結婚式に出るのが初めてだった。最初はせめて知り合いと一緒に受付を済ませたいと思っていたが、敵わなかった。受付を済ませたのか、それともまだなのか、ロビーに人は少なからずいる。ざっと三十人というところだろうか。建物の大きさからして何組もの式を同時にあげられるとは思えないし、人数からしても恐らく小田夫婦の結婚式に来たのだろう。しかし、成美の知り合いは誰一人いない。つまり成美は知らない人と同じテーブルを囲んで、気まずい雰囲気で結婚式と披露宴を過ごすのである。
受付を済ませると、あたりを見渡しながら会場に入った。受付で貰った席表を見ながら自分の席を探す。会場は意外と狭かった。四十席ほどの会場は、容易に隅々まで見渡せる。席は四人で四角いテーブルを囲うようになっていた。こげ茶色い背もたれの大きな椅子と、同じくこげ茶色のテーブルが、南国の雰囲気を強めていた。
成美は自分の席に座った。ちょうど会場の中心程の位置し、成美の正面に新郎新婦の席が見える。特等席のようだった。
最初は教会のような場所で行うものだと思っていた。もしかすると、式は別に身内で挙げて、今日は披露宴だけなのかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!