プロローグ

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 校門を乗り越え、正面から堂々と侵入していった。というのも、事前の調査によりこうする他無かったのである。近年悪くなっていく治安のせいで、学校を囲う黒いフェンスには、監視のための防犯カメラが設置されている。しかしながら、予算の都合上、すべてのフェンスに防犯カメラを設置できるわけではない。そこで、警備員質や職員室に一番近く、目立つ校門には防犯カメラを設置されていないのである。当然、警備員は校門前を常に見張っている訳ではない。見つかりさえしなければ、一番手薄で証拠が残りにくいのである。  生徒玄関までたどり着くと、僕はポケットからA4サイズの白い紙を取り出した。それを扉の下の隙間から入れる。ピーっと音が鳴り、鍵の開く音がした。セキュリティー対策のため夜間は外からは鍵が無ければ開かないが、中からであれば人の影をセンサーが感知して開くようになっている。これを応用し、白い紙をセンサーに反応させると、外からでも開けることができるのである。  中に入ると、下駄箱から自分の上靴を取り出し、外靴を下駄箱の中に入れる。上靴に履き替えると、三人は玄関前の踊り場に集合した。  「時間がない。いいか、さっき言った通りだからな」  そう言い残し、二人は小走りで階段を駆け上がった。
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