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指示通りに帰ろうと階段を下っている最中だった。上の階からものすごい勢いの足音が聞こえた。その足音は、どんどん下へ降りてくる。もしかすると、警備員に見つかったのかもしてない。
『ヤバイ』
僕はそれしか思わなかった。僕は急いで階段を下った。今までに経験したことがないくらい焦っている。もう見つからないようにとか、そういうことは気にしていない。もう見つかってしまったのだから、気にしたところで仕方がない。
玄関で急いで靴を履きかえる。扉の前で焦りながらも一度立ち、ロックが解除されるのを待った。ピーッと音が聞こえると同時に、勢いよく扉を開けた。校門まで走る。二人は捕まってしまったかもしれないが、指示通りに真っ直ぐ帰る。心臓の鼓動が早い。走っているのと緊張で、心臓がはち切れそうである。
校門を出て、しばらく走っていた。百メートル程無我夢中で走った後、ふと後ろを向いた。そこには、静かに何事もないように立っている白い校舎がある。極めていつも通りである。
僕はゆっくりと歩き出した。滴る汗が、着ている黄色いTシャツを濡らした。
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