15人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日、式場へはタクシーで移動した。ホテルのエントランス前に止まっていた一台を拾い、事前に小田から案内されていた式場の住所を見せた。小田の配慮のようで、ホテルと式場は遠くなかった。しかしながら、先ほどまでの街の雰囲気とは早変わりし、自然の多い場所になった。
タクシーを降りて式場のゲートを通ると、シーサーが成美を迎えた。ゲートの両柱に座っている。成美は記念に一枚写真を撮った。すると急に恥ずかしくなり、あたりを見渡した。なぜかシーサーを写真に収めるという行為に羞恥心を感じてしまった。地元の人に見られたら恥ずかしいとか、沖縄に何度も来ている人に見られたら恥ずかしいとか、意味のないネガティブが成美を取り巻いた。
式場は白く、まさに結婚式を行うのであればぴったりな外観だった。海が近いようで、波の音が微かに聞こえる。
ゲートを通り、建物の中に入る。ロビーの受付で、「おめでとうございます」と受付係へ一礼して言う。祝儀を会釈しながら渡した。
「こちらにご記帳お願いいたします」
自分の名前を書く。
最初のコメントを投稿しよう!