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彩芽と和彦。
「和くぅーん。」
「どうした?」
「寂しい。」
ベッドの上でウサギの、ぬいぐるみを抱き締めながら、唇を尖らせる恋人をチラリと見て目を逸らした。
「今、見なかった事にした。」
「してないよ。」
「寂しい。」
「ウサギと遊んでるでしょ。」
彩芽はヤダヤダと駄々をこねて、ベッドをギシギシと揺らしている。
駄目だ。
課題が終わるまで誘惑されたら…。
自分に言い聞かせながら、目の前の事に集中する。
「和くぅーん…。」
甘い声に、意識を削がれないようにぎゅっと目を瞑った。
「ウサギなら死んでるよ…?」
例えが可愛い。
暫く、黙っていると静かになった。
拗ねたのかな?
そう思って後ろを振り向くと。
ちゅっ。
突然、唇に柔らかいものが触れて、驚いて、目を見開くと彩芽が無邪気に笑っていた。
それで全てを理解した。
「…………ばか。」
そっと呟いて、彩芽の頬を優しく撫でた。
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