3 千里の道も一歩から

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いつか見たファッション雑誌に「バリキャリファッション/ちょこキャリファッション」という特集があった。 いわゆるバリバリのキャリアウーマンに対して、余裕のあるミセスが自分探しのためにちょこっと働くのを「ちょこキャリ」と名付けているらしいのだ。 「くっだんなーい!」 あさ美はムッとしながら雑誌を閉じた。 じゃあそのどっちでもないアタシは何なのさ。 百貨店でのあさ美の担当は宝飾品・アクセサリー売場だ。 入社以来担当していたヤングファッションの売場はさすがにムリがあるとされたのか、数年前から今の所属に異動になっている。 仕入れと販売を担当するものの、何か決定権があるわけではない。 あさ美の上司は30代半ばの男性だった。 長年働いていると言うと、「じゃあもう偉いんでしょう」などと言われることもよくあるのだが、長いだけで偉くない人というのも少なからずいるわけです。
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