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2週間後の休日。
あさ美の目の前にあるガラスのドアには、ピンクの濃淡のふちどりがあり、「結婚情報サービス・ブーケ」の文字がハートマークに囲まれている。
相手をコツコツ探していくことを決心してはみたものの、自分の置かれた環境にはターゲットになる独身の男性なんてまずいない。
そこで思い切って結婚情報会社に登録してみることにしたのだ。
この会社にたどりつくまでがまたすんなりとはいかなかった。
いわゆる結婚相談所には、入会に際して年齢制限を設けているところもある。
また規定にはなくても、問合せをしたらまず生年月日を聞かれ、
「当会ではご紹介できるお相手は何人もおりませんのよ」
やんわりと門前払いをくらったこともあった。
そればかりか「男性がエリート揃い」などと謳っている会社にいたっては、女性のみ会費がべらぼうに高かったりする。
なかなか世知辛い世界ではあるようだ。
そうして色々と調べた結果、数ある中でなんとか同じ年齢層の会員も多く活動しているというこの会社の扉の前に立ったというわけだ。
ねぼけたクラシック風のBGMが流れるロビーで座って待っているあさ美の前に、にこやかな中年女性が現れて自己紹介をする。
あさ美も中年には違いないのだが、自分よりはかなり上だと踏んだ。
何社かに電話をしたり訪ねたりしたが、どうして結婚アドバイザーとかいうオバサンはみな似たような雰囲気なのかしら。
根拠のない腹立たしさがこみ上げてくる。
それともそれは「ついにこんな所へきてしまったか」という、自分に対する観念が裏返しに現れたものかもしれない。
「今日はあさ美さんのご希望をいろいろ聞かせてくださいね。できるだけいいお出会いがあるようにお手伝いさせていただきたいと思います」
おであい、ですか。
あるんでしょうか。
目の前にかかっていた靄が、なおいっそう濃くなったような気がしてくるのだった。
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