振り返ると

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もう帰ろうと、僕は桜に背を向ける。 その時、また誰かが僕を呼び止める。 振り返ると、彼女が居た。 あの時と変わらない姿で、表情で、僕を見ている。 「思い出してくれてありがとう。ここにきてくれて、ありがとう」 彼女は透き通った声で僕に言う。 でも彼女は、僕が言葉を発する前に、儚く消えてしまった。 そして桜の木も、根元から倒れてしまった。 僕は、彼女が桜そのものであったのだと気付いた。 そして、2度と会うことは無いと察してしまった。
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