3人が本棚に入れています
本棚に追加
もう帰ろうと、僕は桜に背を向ける。
その時、また誰かが僕を呼び止める。
振り返ると、彼女が居た。
あの時と変わらない姿で、表情で、僕を見ている。
「思い出してくれてありがとう。ここにきてくれて、ありがとう」
彼女は透き通った声で僕に言う。
でも彼女は、僕が言葉を発する前に、儚く消えてしまった。
そして桜の木も、根元から倒れてしまった。
僕は、彼女が桜そのものであったのだと気付いた。
そして、2度と会うことは無いと察してしまった。
最初のコメントを投稿しよう!