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風邪を引いて寝込んで数日、俺はあまりのやることの無さに国王様に働きたいと直談判してみた。
渋っていたけどようやく折れてくれた。
働く場所は厨房の皿洗い。
水は冷たいけど何もしないよりはマシだ。
「新入り、これも洗っとけ」
「はい」
朝から晩まで洗い物をし、手の空いた時にはゴミを捨てに行く。
なんと賃金も出してくれるらしい。
これからどうなるかはわからないからこれは助かる。お金貯めておこう。どうせ城から出れないから使うところ無いんだけど。
「新入り、鍋早く洗え!!」
「すいません」
厨房は戦場である。
ボケッとしてたらすぐコック長から雷が落ちる。
だから他の皆さんも必死だ。
「新入り、ゴミ出し!!」
「新入り、皿!!」
「新入り、チンタラすんな!!」
城で働く皆さんの夕飯が終わった後にやっと仕事は終了する。
厨房の皆さんに挨拶をして俺は部屋に帰る。
今日も頑張ったなぁ。
部屋に帰るとルークが迎えてくれた。
『篤人疲れてはいないか』
「大丈夫だよ。毎日部屋の中より全然マシだし」
『我は放っておかれて拗ねそうだ』
そう言ってそっぽを向くルーク。
「ごめんね、ルーク。機嫌直して」
ルークの毛をブラッシングする。しっぽ揺れてるよ、ルーク。やっぱ犬だなぁ。
『犬じゃなくて聖獣だ』
「えっ…」
『お前の顔に書いてあった』
「あはは。ごめんね」
ルークと居る時間は減ったけど部屋に戻って寝るまでのこの時間が癒しの時間である。
明日に備えて早めにベットに入る。
「おやすみ、ルーク」
『おやすみ、篤人』
こうして夜が更けていく。
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