制汗剤

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俺の通う高校では、流行っていることが有る。 それは、制汗剤の蓋を交換すること。 やってるのは、みんなカップルだ。 でも、それくらいなら上手く言えばアイツも、男同士の冗談だと思ってやってくれるかもしれない。 アイツにとっては冗談でもいいから、恋人みたいなことがしてみたいんだ。 放課後に話そうと思っていたらあっという間に時は流れ、奏多は俺の部屋で漫画を読んでいる。 緊張で心臓がうるさい。 さりげなく、を心がけて声をかける。 「さ、最近、制汗剤のキャップを交換するの流行ってるよな」 「確かになぁ。......颯はキャップ交換したい相手とかいないの?」 「いる」 ......思わず即答してしまった。 .........だけど、この流れ不味くないか? ここで、奏多にキャップ交換してって言うと俺の気持ちがバレる気が......。 「へぇ、好きな女の子いるんだ。誰?」 奏多が少し眉をしかめ、不機嫌そうな表情をした。 それを不思議に思うより早く、奏多の言葉が聞こえてきてショックを受けた。 『好きな女の子』この言葉に、僕が奏多の恋愛対象ではないことを改めて感じさせらる。 動揺に気付かれないように、手をぎゅっと握り締めて耐える。 「......ひみつ」 声が震えそうだったけど、なんとかいつも通りの声で話すことが出来た。 制汗剤は諦めて、この話を終らせようと思ったのに、奏多は追及を止めてくれない。 「可愛い子?」 俯いてしまったけど、辛うじて答える。 「......では、ないかな」 だって、奏多は外見も性格もイケメンだ。 可愛いより、格好いいという表現が合う。
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