第2話 声

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ぴたり、と足が止まった。突然声が響いた気がした。眉を潜めながら辺りを見回す。しかし人影はない。 『…だれか、お願いだ…助けてくれ……』 「……誰かいるのか?」 声を上げるが、返事はない。 『誰でもいい…私達を助けてくれ……』 なおも声は響く。 「……こっちからか?」 それは、登ってきた道から外れた茂みの中から聞こえてくるようだった。誰かが足でも怪我して困っているのかもしれない。正直面倒臭かったが、これで野垂れ死にでもされたら寝覚めが悪い。 ガサゴソと進むと、そんなに遠くない場所に、小さな洞窟があった。 「へぇ……こんなとこあったのか」 屈まなければ入れないような小さな洞窟。 「おーい、誰かいるのかー?」 そう叫びながら中に入る。まさかこんなところに入るようなバカはいないだろう……。そんなことを考えながら歩いていくと、突然足場が無くなった。 「!!!……うぉあっ!!!!!」 突然のことに驚愕し手足をジタバタとするが、掴まれそうなものも足場になりそうなところも見つからなかった。 「うわぁあああああ!!!!!」 どこへともなく続く暗い穴の中を、落ちていく。 落ちていく。 落ちていく。 落ちていく。 突然、明るい場所に出た。 はっ、と顔を上げると、目の前には人の顔。 銀色にも見える美しい髪を後ろに流し、色の白い肌は瑞々しく張りがある。年の頃、16、7歳の少女だろうか。祈るようなポーズのまま、青い双眸を驚愕に見開いている。 一瞬でそこまで認識したあと、俺はその少女の足元に落っこちるようしにて倒れこんだ。 頭の中に星が回る。 遠くで女の子の声が聞こえた。 頭が痛い…………。
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