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「お前、ほんと図書館好きなんだな~」
「そうだな~大学では一番好きかな…」
一限空いた時間を過ごそうと、ユウと共に図書館内へと入る。
ユウは性別関係なく、誰とでも仲良くなる人だった。
彼女がいても、女友達と遊ぶのは特に気にせず、でもそれは見境が無いわけではなく、彼女は揺るがない存在という絶対領域をしっかりと持っている為だった。
当たり前のように私の隣の席に座り、ノートパソコンを開く。
そんなユウに、私はいつも体の半分だけ熱を持つのだ。
私が通う大学の工業学部はめっきり女子生徒の数が少なくて、逆ハーレムと言われれば聞こえはいいが、気の合う友人を作るのに周りを見ても男子ばかり…というのが常で、その中で特に波長が合うのがユウだった。
「何で好きになっちゃったかな…私…」
適当に選んだ本を読みながら、私はこっそりため息をついた。
「な、緑、今日バイト?」
「いや、今日は休みー」
「マジで!じゃあさ、久しぶりに行かね?」
「え~…またぁ?」
「またぁ?って久しぶりじゃんよ!」
「まぁ…そうだけど…」
「俺奢るからさ~」
「いや、そういうの別にいいし。いいよ、行こう」
「よっし!喉が鳴る~♪」
「意味ちげーし!」
今思えば、私も随分言葉遣いが雑だったと思う。
朱に交われば…という部分もあったのかもしれない。
けれど、わざとそうさせているのもあったのだ。
特に、ユウの前では…。
女を出しちゃいけない。
女っぽく見せちゃいけない。
そうじゃないと、バレてしまうかもしれないから。
私がユウのことを好きだって…。
私の気持ちを知った途端、ユウが離れていくことが一番怖かった…。
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