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「薬師神、頑張れ」
琥王に背を支えられて、そっと芽実に近寄ってみた。
「薬師神……善家……」
芽実が俺に手を伸ばしていた。
俺が、躊躇していると、
琥王が俺の手を掴むと、芽実の手を握らせていた。
「そうか、薬師神先輩から、
子供を預かったのね……大切に育てるって誓った……」
芽実が、にっこりと笑った。
「……泣かないで、一弘君」
その言葉に、俺は涙が落ちて止まらなかった。
琥王がハンカチを出したが、ポケットに戻すと、
スポーツ用のタオルを鞄から出した。
そこまで、泣かないと思うが、
頭から顔までタオルで隠してくれた。
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