第一章 命か金

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 忽那が笑って誤魔化した時点で、周囲にざわめきが戻っていた。 「薬師神、土曜日は森のくまに行くから、絶対に待っていろよ」  待っているわけがない。 俺は、さっさと墓参りに行く。  琥王は、牛乳を飲み終わると、今度は俺のコーヒーを飲む。 その当たり前のような行動に、女子がキャーキャー騒いでいた。  確かに、琥王は見た目が絵になる。 少女マンガは読んだ事はないが、 琥王は登場人物のようなイメージであった。 「琥王、教室に帰れ。授業が始まる」  琥王が、同じクラスではなくて良かったと思う。 俺は、近くに人が多いというのに慣れていない。    次の土曜日、 森のくまで働いていると、早朝から琥王が来ていた。 時計を見ると六時であった。 何も、ここまで早朝に来て、待っていることはないかと思う。
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