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「……琥王」
やや、あきれてしまった。
「薬師神は、一人で行くつもりだったろ?」
それだけではない、
琥王は芽実に墓参りに一緒に行くつもりだといい、接待までされていた。
琥王は、まだ開いていない店内で、スープを飲み寛いでいた。
「良かった、一弘君にお友達ができて。
いつも一人だから心配していたのよ」
芽実は、琥王に焼きたてのパンを出していた。
琥王は、餌付けされ易いので、あまりパンを出さないで欲しい。
「でも、
そうか墓参りか……一弘君のご両親はね、絵に描いたような、
きれいな夫婦だったのよ」
俺の両親は、写真も多くは残っていない。
俺は、生きている両親の記憶はない。
それでも、時折は両親に言いたい事も出てくる。
そんな時、俺は生きていて、彼らは死んでいるので、
仕方なく、話したい事は墓にすることにしたのだ。
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