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墓を洗うと、せっせと琥王も手伝ってくれた。
線香に火を点け、手を合わせる。
琥王も横で手を合わせていた。
「俺に、薬師神を残してくれて、ありがとうございます」
どういう意味なのだろうか。
「俺は、薬師神に出会うまで、どこか孤独だったよ。
厄憑きのまま一生過ごすことに、疲れていた」
琥王の笑顔が、青空に浮かぶ。
どこまでも、眩しい笑顔で、俺は、凝視してしまった。
そこで、後方で物音がしていた。
振り返ると、叔母が立っていた。
「一弘君?」
俺と一緒に叔父と従兄が亡くなった。
叔母はその後再婚したときくが、罵倒に備えて身構える。
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