第一章 命か金

18/28

187人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
 墓を洗うと、せっせと琥王も手伝ってくれた。 線香に火を点け、手を合わせる。  琥王も横で手を合わせていた。 「俺に、薬師神を残してくれて、ありがとうございます」  どういう意味なのだろうか。 「俺は、薬師神に出会うまで、どこか孤独だったよ。 厄憑きのまま一生過ごすことに、疲れていた」  琥王の笑顔が、青空に浮かぶ。 どこまでも、眩しい笑顔で、俺は、凝視してしまった。  そこで、後方で物音がしていた。 振り返ると、叔母が立っていた。 「一弘君?」  俺と一緒に叔父と従兄が亡くなった。 叔母はその後再婚したときくが、罵倒に備えて身構える。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加