第一章 命か金

21/28

187人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
 墓を後にして、再び駅に向かうと、 自分の人生について考えてしまった。 「塩冶様って、塩冶さんの母親かな?」 「そうみたいだよね」  塩冶もどこか得体が知れない。 「でも、良かった。厄病神が言っている。 薬師神は、もう自分で生きているから大丈夫だとさ」 「あ、神社。琥王、賽銭」  小さな神社で、琥王が賽銭を入れた。 「ほら、薬師神にも賽銭をやるから、また胃薬を造って。 親父に持ってゆく」  小銭を貰ってしまったので、仕方なく再び水を購入し、手に握ってみた。  駅に到着するという直前で、黒塗りの車が停まっていた。 係らないように通り過ぎようとしたが、ドアが開き、 神々廻(ししば)が中から出てきた。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加