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「俺は透視で見ることはできるけど、
何を言っているのかは分からないしね」
十人程度の人が集まっていた。
じっと見つめていると、中の女性が俺の姿に気が付いた。
「あなた、一緒に聞きたいのならば、入ってもいいよ」
「ありがとうございます」
玄関に入ると、呼んでくれた女性が立っていた。
「ここ、亡くなった人を偲ぶ会なのよ。
あなたは、誰か亡くしたの?」
「俺は……事故で両親を亡くしています」
その言葉に、女性は俺を抱きしめると泣いていた。
「今、誰が、あなたを育てているの?」
「母親の双子の兄です」
今は塩冶の家に住んでいるが、そんなややこしい事は言えない。
女性は、ただ泣いていた。
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