第一章 命か金

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「俺は透視で見ることはできるけど、 何を言っているのかは分からないしね」  十人程度の人が集まっていた。 じっと見つめていると、中の女性が俺の姿に気が付いた。 「あなた、一緒に聞きたいのならば、入ってもいいよ」 「ありがとうございます」  玄関に入ると、呼んでくれた女性が立っていた。 「ここ、亡くなった人を偲ぶ会なのよ。 あなたは、誰か亡くしたの?」 「俺は……事故で両親を亡くしています」  その言葉に、女性は俺を抱きしめると泣いていた。 「今、誰が、あなたを育てているの?」 「母親の双子の兄です」  今は塩冶の家に住んでいるが、そんなややこしい事は言えない。 女性は、ただ泣いていた。
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