第二章 今死ねば来世で

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俺は、会いたい人に会えないからだよ」  石田は、妻と娘に再び会うために活動しているのだそうだ。 妻と娘は失踪していて、未だ見つかっていない。 「写真と名前を教えてください」  石田が胸ポケットから、写真を出してくれた。 俺は、写真を見つめながら遠視をしてみた。  優しい女性と、笑う娘。 これは、元々、この世界の人ではない。 近いものは、 塩冶の【返還の血】で産まれた桐生に似ていた。  この世界では、 この二人は石田の持ち物で、棚に飾られた皿であったようだ。 それを、その世界では同じく大切にされていた、家族となっていた。 一時期、それが入れ替わっていたのだろう。
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