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全員に厄が行ったところで、俺は立ち上がる。
「石田さん、俺は、両親にまだ会う事ができません。
何故ならば、親の命を背負っているからです」
「そうだね、子供は親が先に逝く事を承知しなくてはならない。
君はまだ早い」
周囲もそのことは納得する。
自分が死んだ時に、子供に追われてこられては、あまりに辛い。
「他に、魂に刻まれている言葉を、
もう一度見なくてはならない人間もいますよね。
最初から、残されると知っていた。そして、生き抜くと約束していた」
石田が、俺の言葉も否定しなかった。
「そうだね、この中には生き抜くと誓った人物が居るね。
それは、誓いを守らなければならない。
その誓いは、再び会うための約束であるからね」
「分かりました。
死に面して、どちらだったのか見てください」
俺は、これでこの家を出ることにした。
琥王の厄がどう出るのかは分からないが、
多分、何か突発的な事故には遭うだろう。
でも、五百円ならば、死にまでは至らない。
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