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家を出ると、琥王を睨む。
「何故、俺には五円?」
「俺の賽銭は、厄だよ。
薬師神にそんなに厄を渡せない」
厄なのかもしれないが、
俺の神憑きを発動させるには願いがあり、他者からの命か金を必要とする。
家の中を透視してみたが、特に厄は発生していないようであった。
駅まで帰りかけて振り返ると、
解散して門を出ようとしていた人々の中に、スリップした車が突っ込んでいた。
「……結構、凄い厄になっているけど……」
「いやあ、多分。石田さんに溜まっていた厄もあるだろうね」
人は危機的な状況で、全てを理解する。
大切なもの、見えていなかった大切なものもある。
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