第二章 今死ねば来世で

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 家を出ると、琥王を睨む。 「何故、俺には五円?」 「俺の賽銭は、厄だよ。 薬師神にそんなに厄を渡せない」  厄なのかもしれないが、 俺の神憑きを発動させるには願いがあり、他者からの命か金を必要とする。  家の中を透視してみたが、特に厄は発生していないようであった。 駅まで帰りかけて振り返ると、 解散して門を出ようとしていた人々の中に、スリップした車が突っ込んでいた。 「……結構、凄い厄になっているけど……」 「いやあ、多分。石田さんに溜まっていた厄もあるだろうね」  人は危機的な状況で、全てを理解する。 大切なもの、見えていなかった大切なものもある。
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