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「仕事の話だよね」
「そうです」
屋根裏に行くと、笑顔で塩冶がコーヒーを持ってきていた。
「石田さんですね、周囲に自殺が多い。
今死ねば来世で会える、ということですよ」
「で、それは本当?」
屋根裏で、コーヒーを飲むと、奥に隠しておいたクッキーを出す。
塩冶は、ビンに入ったクッキーに飛びつくと、何枚も抜き取っていた。
「薬師神君のクッキー、おいしい上に胃がすっきりする」
でも、そんなに食べないで欲しい。ビンが半分空になってしまった。
残りを、琥王が抱えて食べていた。
「俺は来世なんて知りません。あるのかないのかも分かりません。
だから、それが真実なのかは分かりません」
塩冶は、頷くとどこかに電話を掛けていた。
俺は琥王に渡したクッキーを諦めると、更に奥から瓶を出した。
今度は、ゴマのクッキーで全く甘くない。
甘くないものには、琥王は反応しないらしい。
これは、せんべいのようなクッキーを目指し、
その試作品であった。
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