第二章 今死ねば来世で

17/28

187人が本棚に入れています
本棚に追加
/222ページ
「最近は制御しているみたいよ。 昔は、制御できなかったみたいだけど」  制御できるようになったのならば、暫く見守るしかない。 「薬師神、クッキー。おいしい。 これ売り物にはしないのか?」 「それがね、俺が作るとこの味になるけど、 他の人が同じ材料で作っても、この味にはならないのさ」  薬師神の力のようなものが、 パンには出なかったのに、クッキーには出てしまったのだ。 人間にとって、薬となるクッキー。 「そうか……でも、このクッキーは使える。 また焼いてね」  琥王は、ビンを鞄に詰めていた。 「分かった、焼いておく」  俺は再び写真を見ていた。 この家族、何て哀しい目をしているのだろうか。 この写真の母と娘は、自分の存在に気が付いていたのかもしれない。
/222ページ

最初のコメントを投稿しよう!

187人が本棚に入れています
本棚に追加