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「それと、琥王、いつも、ごめん。賽銭、使わせてしまって。
どうやって返したらいい?」
琥王が、嬉しそうに俺を見ると、そっと寄ってきた。
ここでストップして欲しいという位置を越え、琥王は更に俺に近寄ってくる。
もう触れるという所まで琥王は近寄ると、小さく呟いていた。
「俺のためにパンを焼いて。俺に向かって、笑って。
それだけで、いい……」
それだけと言いつつも、そっと唇に触れるものがある。
それが、琥王の唇と気が付くと、顔が火照ってしまった。
「琥王!」
突飛ばそうとした手が、壁に押さえられてしまった。
再び唇が寄せられると、
小さくチュツという音が、何度も響く。
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