第二章 今死ねば来世で

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「石田さん、大丈夫ですか?」  俺が声を掛けると、のろのろと石田が俺を見つめた。 「君か……よくここが分かったね」  石田は、又、下を向いた。 「あの、写真を返していなくて、追いかけてきました」  俺が写真を出すと、石田は胸に手をやり苦笑いしていた。 「そうか、君が持っていたのか」  幾人かの怪我人が、治療室から出てくると、石田に頭を下げていた。 「あの、こんな時なのですが、会って欲しい女性がいます」  俺は、橋場のプリントした写真とプロフィール、現在の状況を渡した。 「……彼女は?」  石田は長くプロフィールを見ていた。
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