第一章 命か金

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「なあ、薬師神、土曜日に時間はとれないかな」  きついカーブの先に、降りる駅がある。 俺は、このカーブの辺りで目覚めるのが、常であった。 「土曜日は墓参り」  俺が生まれた祝いは、母親が体調を崩していたせいで、 一か月半ほど遅れていた。 ゆえに、五月の墓参りになる。 「……そっか、俺も行くよ」  会った事もない人の、墓参りに行くものなのか。 「……俺だけで、墓参りするから来るなよ」  混み合う駅を抜けると、学校まで歩く。 バスも出ているのだが、混んでいるバスに乗るよりも、 歩いた方が早い。  琥王は人目を引いていて、特に女子生徒は、常に見ていた。 地毛の金色に近い髪に、同じ系統の目の色。 琥王は、大型の猛獣のようでもあった。
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