第三章 今死ねば来世で 2

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「焼肉?」 「食べ放題で、学生割引があって、しかも今日は半額日」  焼き肉には惹かれる。 安廣も芽実も、野菜衷心の食事であった。 塩冶は、家で食事をしない。 「……分かった、行く」  芽実が手を叩いて喜んでいた。 どうして、これで喜ぶのかは分からない。 「芽実さん、映画に行ってきます」 「行ってらっしゃい!仲良くね」  仲良くと言われても困る。 琥王が、俺にキスしたと知ったら、芽実も驚くだろう。  着替えると、琥王の待つ森のくまの店頭に行く。 すると森のくまは開店前だというのに並んでいて、女性客が琥王を見ていた。 「かっこいい」  琥王は、褒められていても気にもせずに、 俺の姿を見つけると手を振ってきた。 派手に琥王が手を振るので、客が一斉に俺をみた。
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