第三章 今死ねば来世で 2

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「意外に、薬師神。球が速い」  そこで、ピッチャーとキャッチャーで再びボールを投げた。 「俺は、もしも薬師神が死んで、 今死ねば来世で会えると言われたら、自殺しそうだよ。 やっと神憑きに会えたのに、もう孤独には耐えられない」  俺は死んでいない。 「琥王、他の神憑きを紹介しようか?意外と身近にいるからさ」  安廣や祖父が、神憑きなのだ。 「そういうのではなくってね……」  琥王が説明しかけて、諦めた。 又、キャッチボールをする。 「代わりがいない、人間ってそういうものだよ。薬師神」  それは俺にも分かる。 安廣も芽実も、俺にとっては代わりがいない。
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