187人が本棚に入れています
本棚に追加
ボールの音が響いていた。
もっと早くに俺が琥王と知り合っていたら、
琥王の厄をどうにかできたのだろうか。
今も、どうにもなっていないのに、それは無理だったかもしれない。
「琥王、俺、森のくまのバイトに行く」
明日の仕込みの時間になる。
「そうだね、行ってらっしゃい」
森のくまに向かって電車に乗ると、つい石田を透視してしまった。
石田は、橋場の花の栽培を手伝っていた。
守護霊が同じということは、同じ人にも似た感覚がある。
必死で花の栽培をする橋場を、石田はじっと見守っていた。
死ではなく生で、世の中を繋いで欲しい。
森のくまに着き、服を着替えると、芽実が何かの紙を持ってきた。
最初のコメントを投稿しよう!