第一章 命か金

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「薬師神、クロワッサンは俺のだからな」  教室にたどり着くと、隣のクラスである琥王とは離れる。 机の周辺には、俺が持ってくるパンを食べようとする、 男ばかりが集まっていた。 「薬師神、男にはモテるのね」  前の席の忽那は、当たり前のように俺の紙袋を開け、 中からパンを取り出す。 「男にモテても、嬉しくない」  忽那が食べだすと、次々に手が伸びてくる。 「そうかな、女子など、男にモテる薬師神君が大好きらしいよ」  どういう意味かは分からないが、 確かに、パンでの餌付けと称されてはいる。  琥王がやって来ると、やはり当たり前のように、 クロワッサンを食べ始める。
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