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「行きなさい。こんな状態では授業にもならないだろ?
早退して行ってあげなさい」
俺は、病院名の書かれたメモを握り締めると、教室に行き、
鞄を取ると走って学校を出た。
代わりなんていない、
俺にとって芽実は世界で一人の人であった。
多分、母親だと思いたい人であった。
芽実が許してくれるのならば、親子になりたい。
電車の中でも泣いていたのか、周囲が驚いた顔をしていた。
駅に到着すると飛び出して、病院へと走り込んだ。
救急病棟で芽実を探すと、病室の外のベンチで、
青い顔をした安廣が座っていた。
「一弘君」
安廣は俺を見つけると、隣の席をポンポンと叩いた。
俺が隣に座ると、頭を撫ぜてくれていた。
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