第四章 忘れてゆく人

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「行きなさい。こんな状態では授業にもならないだろ? 早退して行ってあげなさい」  俺は、病院名の書かれたメモを握り締めると、教室に行き、 鞄を取ると走って学校を出た。  代わりなんていない、 俺にとって芽実は世界で一人の人であった。 多分、母親だと思いたい人であった。 芽実が許してくれるのならば、親子になりたい。  電車の中でも泣いていたのか、周囲が驚いた顔をしていた。  駅に到着すると飛び出して、病院へと走り込んだ。 救急病棟で芽実を探すと、病室の外のベンチで、 青い顔をした安廣が座っていた。 「一弘君」  安廣は俺を見つけると、隣の席をポンポンと叩いた。 俺が隣に座ると、頭を撫ぜてくれていた。
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