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病室の前で待っていると辛くなり、
一階に降りるとコンビニで飲み物を購入した。
忘れられるということは、こんなにも辛い事であったのか。
力尽きるように椅子に座ると、天井を見た。
やっぱり、芽実に忘れられたくない。
「薬師神!」
どこからか声が聞こえてきた。
「琥王?」
琥王が、病院内を走っていた。
そのまま走り寄ると、俺に抱き付いていた。
「大丈夫か?芽実さんは?怪我はどうだった」
琥王、あんなに全力で、病院内を走っていいものだろうか。
全力疾走であっただろう。
でも、温かい。
俺は、言葉にできない思いを、必死に繋いでみた。
「怪我よりも、俺のこと覚えていたいみたいだった……」
言葉にすると、それだけなのだが、不安で潰れそうな気分であった。
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