第四章 忘れてゆく人

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 病室の前で待っていると辛くなり、 一階に降りるとコンビニで飲み物を購入した。  忘れられるということは、こんなにも辛い事であったのか。  力尽きるように椅子に座ると、天井を見た。 やっぱり、芽実に忘れられたくない。 「薬師神!」  どこからか声が聞こえてきた。 「琥王?」  琥王が、病院内を走っていた。 そのまま走り寄ると、俺に抱き付いていた。 「大丈夫か?芽実さんは?怪我はどうだった」  琥王、あんなに全力で、病院内を走っていいものだろうか。 全力疾走であっただろう。  でも、温かい。 俺は、言葉にできない思いを、必死に繋いでみた。 「怪我よりも、俺のこと覚えていたいみたいだった……」  言葉にすると、それだけなのだが、不安で潰れそうな気分であった。
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