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「……ちょっと待って」
琥王は、近くの募金箱に小銭を全部入れていた。
「よし、行くぞ。
薬師神、その力は、今、使うものだろう?」
琥王が腕を引き歩き出したが、暫くして立ち止まった。
「病室はどこ?」
琥王は、病室が分からないのに、俺の手を引き歩いていたらしい。
「こっち」
廊下の安廣が消えているので、中に入る事ができるのだろう。
病室のドアを開くと、各種のチューブや機械に繋がれた芽実が、
不安そうに天井を見ていた。
その枕元には、安廣が居た。
他に、芽実の両親も来ていた。
芽実は、俺の姿を見つけると、再び不安そうな顔になった。
どうしても、思い出せないのかもしれない。
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