1-1

2/5
前へ
/7ページ
次へ
『朝のニュースです。本日B地区の繁華街の裏路地で男性の遺体が発見されました。男性の名前はー…』 いつものように流れる朝のニュース。それに耳を傾けつつ書類に目を通している男がいた。 「元帥様。朝食でございます。」 その言葉と共に部屋の扉が開く。 現れたのは眼鏡を掛けた短髪で二つの青いメッシュが特徴的な女性でサンドイッチとコーヒーが乗ったお盆を持って男に近づく。 「いらない。俺は今忙しいんだ。」 「元帥様が栄養不足で倒れてしまっては部下に笑われてしまいますよ?それに…」 「わかった。頂こう。」 その男の言葉に女性は一瞬、目を丸くし驚くがすぐに我にかえり朝食を男の目の前にある机に置く。 「随分と素直ですね。」 「お前はこうなるとしつこいからね。」 そう言うと元帥と呼ばれた男は右手でサンドイッチを食べるが左手には書類を持ったままだ。 『遺体には食いちぎられたような後があり魔物や妖怪の犯行が疑われており、現在caneが犯人の捜索をしています。』 「これで2件目ですね。」 「いや、報道されていないものを含めると4件目だ。しかも全てB地区で行われている。」 男は左手に持っていた書類を女性に渡す。その書類には先ほどニュースで報道されていたような遺体の写真と事件の被害者の個人情報だった。 「それに…襲われた人は全て人間ですね。これは食人種の種族の犯行が濃厚ですね。」 人間以外にもエルフや人魚等様々な種族が生きているこの世界で人間だけ狙われるのは良くあることだ。 「だけどB地区に食人種の種族がいても遺体は残さないだろう。それに食人種の犯行ならホームレスとか行方不明になっても困らない人間を選ぶはずだ。」 確かにと女性は頷く。今ニュースで報道されている男は自営業を営んでいたと書類に書かれており他の被害者も学生であったり、公務員であったりおおよそ行方不明になったら騒がれる人物が多い。 「それでは一体…?」 「いまの段階ではわからないけどこれ以上醜態を晒すわけにはいかない。」 そういってコーヒーを飲み干し男は立ち上がりやっと女性の方に視線を向けた。 「行こう。磯藤海月(いそふじくらげ)。」 「わかりました。元帥、一円ホムラ様。」
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加