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「さあ、本日の会議をはじめよう。」 一名欠けた状態で始まったいつもの会議。しかし今回の議題は「連続殺人事件」という大きなヤマ。会議室には緊張が走る。 「まずは現場からの情報を提示してくれ。」 「はい。」 短く返事を行い、戦闘班班長の ユスティーが書類を片手に立ち上がる。 「今回の被害者の名前はモズ・シープ。23歳の人間。性別は男性。職業は車の整備士でB地区の車屋に勤務。繁華街の路地裏にて両足切断と腹部に噛みつき跡あり。また両足は綺麗に刃物で切ったのではなく引きちぎられたような跡あり。死因は多量出血。現場には凶器らしきものは残されていない。他にも犯人を断定できる証拠品がでていない。また、現場の臭いからして人間ではないことは確実。」 「人間ではないことは確実かい?」 「はい。」 ユスティーは嗅覚が優れている種族だ。臭いで人間かそうでないか断定するのは彼女にとって朝飯前のことだ。しかしわかったのは人間ではないことだけー…。 「ちょっと待ちぃ。ユスティーちゃん。人間ではないのは確かなんやら犯人の臭いで種族とかわからんの?」 マナリエの質問にユスティーは少し困った顔をし、手を口に当てて答える。 「犯人の臭いが混じりすぎている。」 「混じっている?複数犯人がいるってことですか?」 「いや、現場の状況から見るに犯人は一人の犯行で間違いはない。だが臭いが混じっているんだ。獣でもあり、悪魔のようでもあり、妖怪のようでもある。だからわからないんだ。」 「犯人が捜査を撹乱させるために行ったかあるいはそういう種族なのかしら…。」 「まさか確かにキメラとかいるがあの臭いはそれ以上に複雑だった…。あれは小生がはじめて嗅いだ臭いだ。」 この世界には様々な種族が存在するもののそんな臭いをした種族がいるなど聞いたことなどなかった。いや、もしかしたら自分たちが知らないだけかもしれない。 「海月。過去の資料やそういった種族がいるかどうか調べてくれないかい?」 「わかりました。」 ホムラは海月に命令したあと再び視線をユスティーに戻す。 「ユスティー達は引き続き現場と過去の事件の調査。雪那はそのサポートをよろしく。」 「はい。お任せ下さい。」 そう言ってユスティーは深く頭を下げ、雪那もそれに答える
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