「管理人ですか?」by黒乃

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 そんなやり取りから三日が経った日。  両親には許可を貰ったが、なんか物凄く納得がいかなかった。  俺も灰姉達と同じ高校に通うことになると寮生活になる。  別に電車通学で通えないことはないが、毎日片道二時間半はキツイ。  行って帰ってくるだけでも五時間は掛かる。  つまり俺まで寮生活になるといきなり両親は二人だけになってしまうのだ。  それは何と無く申し訳無かったのだが、当の本人達は……。 「え、何?黒乃も寮生活するの?じゃあ丁度良いじゃないか。ねぇ、母さん?」 「そうね、父さん。黒乃が居なくなれば私も父さんに着いていけるものね」  何でも四月から父さんの海外転勤が決まっていたらしいのだが、俺が家に居ると不安だから母さんは残る予定だったらしい。  でも、俺が寮生活になれば着いていけると喜んでいる。  だけど、居なくなればって酷くないですかね。  それにまだ入学出来ると決まった訳じゃないしな。  まぁ、兎に角今日は理事長と面接する事になっている。  灰姉に相談したあの後すぐ、出掛けると言って灰姉は出て行った。  どうやら学校に戻って理事長に話をつけてきてくれたらしい。  そんなこんなで今日は面接と試験もあるらしいが、灰姉曰く俺なら大丈夫だそうだ。  取り敢えず一番の問題は無事に理事長に会える事を祈るばかりだな。  俺が向かっている高校、私立彩葉学園は小中高一貫の超マンモス校だ。  まぁ、言ってしまえば超が付く程のお金持ち学校だな。  ウチの何処にそんなお金があるのかは知らないが、通わせてくれるならありがたい。  そんな事を考えていると驚くことに何事も無く無事に彩葉学園に着いてしまった。  逆になんか怖い。  取り敢えず、灰姉に教えてもらった事務に行き用件を伝えると簡単に理事長室に通してもらえた。  ノックをして返事を待ってから入室すると、アンティークっぽい少し高そうなソファーやテーブル、棚や仕事机があり、奥には初老の優しそうな男性が立っていた。
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