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----- 2016/01/07 -------------------
奇術師モルトンは白い手袋をはめ、コツコツと革靴を鳴らしながら、イスに近づいた。
黒光りする質の良さそうな一人用のイスには、ジェイコブが座り、モルトンの動きを見つめている。
「ジェイコブさん、これから3つ質問をします。思いついたことを答えていただければオーケーです」
手を膝の上に乗せ少し力が入るジェイコブ。
「動物、と聞いて連想するのは?」
「・・・ユニコーン」
「右手と左手、どちらが重いでしょう?」
「左手です」
「最近見た夢で覚えているのは?」
「ゴミ箱に・・・その、鳥の死骸が入っているのを見ました」
「結構です。ありがとうございます」
モルトンは、手をそっとジェイコブの肩に乗せ、顔を近づけた。
「後ろをご覧ください」
ジェイコブはゆっくりと後ろを振り向き、驚きで目を見開いた。
そこにあったはずの床と壁がなくなっているのである。
----- 2016/01/08 -------------------
一人の男が乗った小舟が、丘のように小さな島へ着岸した。
男の顔には眼帯、シワやキズも見られる。
朝霧がうっすらとかかる島を見回して、男は一息ついた。
島は小高い丘のようで悲しげな土といくらかの雑草。
そして、<<墓>>だ。
波打ち際を除いて、等間隔で墓が並んでいる。
儀式的で数学的で論理的な、無情な光景だ。
男はしっかりとした歩みで墓の合間を進み、一つの墓の前で腰を下ろした。
墓をじっ、と見つめる男。
濁った空から雨が降り始めた。
男の後ろから、足音が近づいてきた。
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