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「はい、少佐。悪くはありません」  進駐軍の施設内では、タツオはひとりきりの兄を階級で呼んでいる。継雄は直属の上司のひとりでもあった。 「いいだろう。生活のリズムと食事には細心の注意を払ってくれ。おまえにはなんとしても最高のパフォーマンスを維持してもらわなければならない」  タツオは胸のなかでつぶやいた。それは弟としてでも、ひとりの軍人としてでもなく、日乃元本土防衛の決戦兵器「須佐乃男(すさのお)」の正操縦者候補として欠かせないからだろう。さらに加えるなら、兄・継雄にはウルルク王国の首都防衛戦で軍規違反を犯したうえ玉砕した父・逆島靖男(やすお)の名誉を回復し、再び逆島家を女皇を守り立てる近衛(このえ)四家に復帰させたいという野望があった。没落はしたが逆島家は本来、近衛四家の序列第三位である。タツオは兄の思惑など無視して、ぶっきらぼうにいった。 「養成高校のテロはどうなりましたか」
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