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 会議室は養成高校のように殺風景な部屋ではなかった。床には臙脂(えんじ)色のカーペットが敷きこまれ、30名は楽に座れる楕円形の大テーブルは重厚なマホガニー製だ。そのテーブルの中央には3Dホログラムのディスプレイが設置され、居ながらにして世界各地に広がる日乃元進駐軍の戦場がリアルタイムに再現可能だった。  黒革のリクライニングチェアを足でくるくると回転させ、鳥居(とりい)国芳(くによし)がいった。 「さすがに本物の進駐軍は違うな。養成高校とは給料もぜんぜん違うもんな。おれたちも偉くなったもんだ」  進駐官養成高校でも毎月給与は国から出されていた。だが、繰り上げ卒業をして新任の進駐軍少尉になってから、給料は実に4倍に増えていた。通常の私企業なら勤続10年目あたりの中堅会社員の年俸と同じである。 「そうだね。そういうクニも髪をばっさりと切って、今では須佐乃男の操縦者候補のひとりだからね」  菱川浄児がそういうと、ナンパな新任士官は口先をとがらせた。 「髪のことはいうなよ。おれだって好きで切ったんじゃないんだから。ジョージとタツオは正操縦者候補だろ。おれはおまけの副操縦者のほうだからな。おまえらみたいな本物のエリートとは違う」
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